テレビ、ビデオ、ゲームの影響について
メディア漬けの子育ては危ない!!
最近の診療で目につくのは、頭痛を訴えて来院する子供たちの増加です。
発熱時の頭痛はともかく、熱も無く、普段の生活のなかでよく頭が痛いと訴える子が、
小学校低学年や幼稚園の子でもいます。
最初は、現代のストレス社会が子供たちにまで影響を及ぼしているのかなと安易に考えていましたが、
どうやら違うようです。よく話を聞くと、テレビやビデオ、ゲームなど(メディア)の映像を見て過す時間が長く、
目や頭の疲れがたまってきている事が原因のようです。
そのほかの症状には、目の隈がある、肩こりがある、背中を丸くしているなどです。
2004年に日本小児科医会からも、子供たちと過剰で不適切なメディアとの接触を避ける具体的提言がだされました。
(下記)テレビ時代になり、よく「脳みそが腐る」といわれましたが、それは本当でした。脳波の検査で、前前頭葉と呼ばれる、注意力、集中力、記銘力、判断力の場の脳波の活動性が、ゲームをした後は極端に低下していました。即ち、ゲームをすることで脳は疲労していたのです。
また、テレビ、ビデオ、ゲームなどから得られる非現実体験では、
親と子が直接顔を合わせ、同一の時間と空間を共有する実体験でつくられる親子の絆(子供が感じたことを言葉にして発信した時、親がそれを受け止めてこたえたり、子供が感じていることを親が言葉にして投げかけることにより育まれる)の形成は不可能です。
非現実体験を重ねるメディア漬けが、子供たちに運動不足や睡眠不足を起こしていないか、
そして実体験をする時間を削り、親子の絆や、人と人とのコミュニケーションの形成を障害していないか、
注意する必要があります。
[日本小児科医会の提言]
- 2歳までのテレビ、ビデオの視聴は控えましょう。
- 授乳や食事中のテレビ、ビデオの視聴は控えましょう。
- すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。就学前は1日1時間、大人でも1日2時間までが安全と考えます。
- テレビゲームの時間は1日30分までが安全と考えます。中毒防止のためゲームから離れる日「ノー・ゲーム・デイ」を設けることが重要です。
- 子供の部屋にテレビ、ビデオ、ゲーム、パソコンを置かないようにしましょう。
- 子供とメディアを利用するルールをつくりましょう。
この提言は、率直に言って、我が家の子育てを振り返っても、なかなかハードルの高いものに感じます。
しかし、大切なことは、周囲の大人がメディアの子供への影響を認識した上で、
だらだらとテレビを見せるのではなく、短時間に一緒にテレビを見て楽しむことだと思います。