「泣かさない予防接種を目指して」 当院での取り組みについて その2
今年は、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行を回避するため、例年より多くの人がインフルエンザワクチンの接種に来院されています。インフルエンザワクチンは、大人でも打った後にじわじわと沁みるような痛みを感じることがよくありますが、打つ場所によってはあまり痛みを感じないこともあります。痛みを感じる“痛点”から外れていたのでしょう。
乳児は生後2ヶ月から定期予防接種が始まり、4~5つのワクチンを同時接種することが一般的です。続けて注射されると、赤ちゃんの泣き声も次第に大きくなってきますが、そんな時、お母さんも動揺して声もでないことも多いようです。しかし、赤ちゃんが泣いて頑張っている時こそ、お母さんの優しい声掛けが必要です。また、赤ちゃんは手足をバタバタと動かそうとしますが、お母さんがしっかり抱っこすることで、針がぶれたりすることなく、短時間で接種できます。痛みの少ない予防接種には、お母さんの協力が不可欠です。
幼児期は、注射は痛いものという固定観念が植えつけられたり、痛かったことで注射がトラウマになったりする時期でもあります。ワクチンを打つ意義を説明して、本人が頑張ろうと思ってもらうのがベストですが、それでも痛くて暴れたりすることもあるので、「そーっとするよ」「1,2,3で終りだよ」「深呼吸したらいいよ」「少し痛いけど、我慢できるよ」と声掛けをして、本人に頑張ってもらうしかありません。気休めの言葉、「痛くないよ」「大丈夫だよ」などは、信頼関係が崩れることがあるので良くありません。最も大切なことは、終わった後の言葉がけです。泣かずに頑張れた子には、「やればできるね、すごい!」「よく頑張りました」「good job」と大いに褒めてあげましょう。泣いて大暴れした子にも、「よく頑張りました」「今度、また頑張ろうね」と精いっぱいの努力を称えることが大事です。皆が自分を応援してくれていると分かると、今度は頑張るぞという気持ちが起こります。大げさな言い方かもしれませんが、子供たちが将来向かい合う様々な困難に、逃げることなく乗り越えていく力をつける一歩になってくれればと思います。