「泣かさない予防接種を目指して」 当院での取り組みについて その1
「予防接種は痛いもの」という先入観を、子供に限らず大人も含め多くの人が持っています。本当に予防接種は痛いものでしょうか? 生後4ヶ月の赤ちゃんに四種混合ワクチンを接種する際、機嫌が良いとまったく泣かない子がいることを時々経験します。逆に、予防接種をしに行くと言われた瞬間、医院に来る前からずーっと泣き暴れている幼稚園の子供もいます。怖がる気持ちが、予防接種の痛みを増幅しているのでしょう。
当院では、「予防接種はちょっと痛いけど、我慢できるもの」として、泣かさない予防接種を目指して、接種対象者の年齢やタイプに対応した取り組みを行っています。
まず、予防接種で泣いてしまう子供たちにはどんなタイプがあるのでしょう。そこから泣かさないための何かヒントがないか、考えてみました。
- ①最初から、大暴れ!
予防接種に行くと分かった瞬間から、行くのを嫌がったり、泣き暴れるタイプ。注射されると痛いことを経験から分かっている子なので、ある程度の理解力あり。どうして注射しないといけないか、予防接種の意義を説明し納得してもらう。
- ②待って、待って!
注射をしようとすると、「待って、待って」と言って、逃げ出し診察台の下に潜り込むタイプ。「分かったよ、待つよ」と、本人の要求に応じる姿勢を示し何回か待ってみるが、結局埒が明かない。皆で抑え込んで注射することになる。あと味の悪さが残る。
- ③突然変異!
本人は「今日、注射がんばる。」と意気込んで入ってきて診察にも協力的だが、いざ針を刺す時に突然暴れるタイプ。臆病風に吹かれたのか?頭では注射しないといけないと分かっているが、体(心)が拒絶しているのか。針や注射器は極力見せないようにして、気をそらせて一瞬で注射してしまうのが良い。
- ④話が違うぞ!
なぜ医院に来たのか知らされていない子が、診察室で注射しに来たことが分って暴れるケース。これは、本人のせいではなく、説明しなかった大人の方が良くない。①のタイプのように、医院に連れて来るまでが大変だが、なぜ予防接種をしないといけないか、しっかり話すことが大事。(ならぬことは、ならぬものです。)
- ⑤健気にがんばる子
③のタイプと異なり、最後までじっとして注射を頑張ってくれるが、終わってからしくしく泣くタイプ。「がんばったよ。えらかったよ。」と褒めてあげることが一番。
- ⑥大きな子でも、注射は苦手
中学生になっても注射が苦手な子は苦手。そんな子ほど、見なくていい針を刺すところまでしっかり見ている。注射の瞬間は、楽しい事や好きな事について考えて気分転換するのが良い。注射に“全集中”しなくていい。